音楽道場へようこそ
音楽道場とは?

五嶋節プロフィール

節の一問一答

ごとうせつのひとり言

お問い合わせは・・・

音楽道場ブログ
節の日記
活動スケジュール
メディア掲載情報
お知らせ

トップページへ

ごとうせつのひとり言

2007年1月10日 「いい子」

欲しいなぁ。一年よりもっとずっと長い間言わずに待っていた。前の年は「世界の民謡」(本)がクリスマスプレゼントで、ケーキを食べながら歌って結構楽しかったけど・・・。一年に一度、プレゼントが両親から来る。プレゼントは一つのときがほとんどで、クリスマス・イブも母は薬局を開けていた。松下本社各部工場のクリスマスパーティー用のプレゼントを包装したり、くじ引きを作ったり、スキーバスの予約を受付けたり。どんなに忙しくても、子供たちへのクリスマスの贈り物は用意していた。ひとりっ子だったみどりのクリスマスプレゼントも用意せずに、サンタの訪れを延期させていた私とは大違い。私のみどりに買ってやりたかったものが身分不相応に高価だったと言い訳してみたところで、悔やみきれないのでありました。

私がずっと待っていたものは“カール人形”、“ミルク飲み人形”とも呼ばれていました。3年生だった私は欲しいと口に出せず、じっと我慢の子だったのです。身を削って働く母にどうして言えましょうか。お友だちは私を除いて皆持っているのです。私の両親が知らないはずがない。こういうときはネダラヌ方がよい。それがいい子の条件のひとつだもの。

そして、その年のクリスマスに、父親好みのカール人形がついに来ました。髪は金髪(ブロンド)、瞳は青(水色)、真っ赤のふんわりしたオーバーコートを着て中は白いシュミーズとパンティー。寝かせれば目をつむり、起せばパッチリお目目。ミルクをあげると自然現象が起こることになっている。

「この人形さんが一番美人だったから、これにした」私の想像していたのとは程遠い五頭身のカール人形でした。可愛いんですけど、赤ちゃんらしくない。その瞬間、気付いたのです!イヤリングをして、ネックレスをした女の子がなんで哺乳瓶でお乳を飲むのかってことを。「お父ちゃん、有難う」と何度も言って、その夜は一緒に寝ましたが、日々おもちゃ箱で薄汚くなるほっぺを見ながら、私は悪くないと自分に言い続け、小学校を卒業の頃母が捨てたようです。名前もつけてなかった。

「ごとうせつのひとり言」トップページへ



Copyright(c) Setsu Goto. All rights reserved. sponsorerd by ASAHIネット